H.G.ウェルズ 著
エンリケ・アルヴィン・コレア 挿絵
H.Tsubota 訳
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際
- 戦争前夜
- 流れ星
- ホースルの共有地で
- 円筒、開く
- 熱線
- チョブハム街道での熱線
- いかにして私は我が家にたどり着いたか
- 金曜日の夜
- 戦いの始まり
- 嵐の中で
- 窓辺にて
- ウェーブリッジとシェパートンの廃墟で見たもの
- 牧師補との出会い
- ロンドンにて
- サリーで起きていた出来事
- ロンドンからの脱出
- 「サンダー・チャイルド」
あらすじ
ロンドン近郊に住む著作家の主人公は友人の天文学者とともに火星で起きた異変を観測する。それからまもなく自宅からほど近い共有地に流れ星が落ちる。それは円筒形をした明らかに人工のものだった。主人公はそれを見物に出かけるがそれはロンドンを襲うかつてない危機の始まりだった。
訳者あとがき
「宇宙戦争」は1898年に発表されたH.G.ウェルズによるSF小説である。
地球外生命体とのファーストコンタクトを扱った作品としては最初期のもので、100年以上たった今でも多くの作品に影響を与え続けている。「宇宙人による侵略」「タコのような姿の宇宙人」という後のステレオタイプを形作ったことでもその影響力の大きさはうかがえるだろう。
原題「The War of the Worlds」が示すようにここで描かれるのは「私たちの地球世界」と「やつらの火星世界」の間の戦いである。こうした世界観のせいか現実の戦争とともに想起されることも多いように思う。例えば最初の映画化(1953年公開)は朝鮮戦争期だったし、スピルバーグによる映画化(2005年公開)はイラク戦争期だった。
また兵士が乗った金属製の戦闘マシン、致死的な黒いガス兵器、「飛行機械」などは(作品発表時から見て)近未来である第一次大戦の様相を予言していたと言えるだろう。オーウェルが「一九一四年までのウェルズは大筋においては正真正銘の預言者だった」("ウェルズ、ヒトラー、世界国家", 1941)と書いたようにウェルズの先見性がよく出た作品と言えるのではないだろうか。
翻訳の元となった原書はProject Gutenberg から入手したものを使用している。校正の段階では小田麻紀さんによる翻訳「宇宙戦争」(角川文庫)を参照させていただいた。
宇宙戦争 (コミックス) |
宇宙戦争 (字幕版) |