2018年4月6日にFreeCAD バージョン0.17がリリースされました。前バージョンから2年弱ぶりのメジャーアップデートです。
さっそくインストールしてみたので FreeCAD バージョン0.17リリースノート(英語)も参照しながら変更点をまとめておきたいと思います。
「ボディー」コンテナーの追加
以前のバージョンではドキュメントの直下にスケッチやソリッドが配置されていましたが、新たに「ボディー」コンテナーが導入され、ボディー内でスケッチやソリッドの編集を行うように変わりました。
ボディー自体が座標情報を持つのでボディー間の相対位置の変更が容易になっています。さらに複数のボディーを入れられる「パーツ」コンテナーも追加されています。
バージョン0.17では標準機能としてのアセンブリワークベンチは追加されていないようですが、将来のアセンブリ機能追加に備えた変更のようです。
パートデザインワークベンチの機能追加
パートデザインワークベンチでは独自のスイープ、ロフト、ブーリアン演算などの機能が追加されています。以前であればパートワークベンチ、ドラフトワークベンチなどに移動する必要があった作業をパートデザインワークベンチ内で完結できるようになっています。
またスケッチ編集機能ではB-スプライン曲線作成、選択辺の延長、任意の正多角形の作成などが新たに追加されています。
FEM ワークベンチの機能追加
有限要素法による構造解析ができる FEM ワークベンチではメッシャーとして新たに Gmsh が、ソルバーとして新たに Elmer が追加されています。また新たに熱機械解析を実行できるようになっています。
解析結果の可視化処理での断面表示などの開発も進んでいるようです。
まだ解析そのものはできないようですが、流体解析用や静電解析用の境界条件を作成するツールが追加されているので将来は流体解析や静電解析がサポートされそうです。
TechDraw ワークベンチの追加
3次元形状から2次元図面への変換を行う場合、従来は Drawing ワークベンチを使用していましたが、これを置き換えるために TechDraw ワークベンチが追加されました。
互換性のために Drawing ワークベンチは残されていますが、今後、新規に2次元図面の作成を行う際は TechDraw ワークベンチを使用するよう公式に推奨されています。
TechDraw ワークベンチでは Drawing ワークベンチと較べて寸法や注記の挿入、面のハッチングなどの操作が大幅に改善されています。
上に示すような3次元形状に対して下図のような2次元図面を作成できます。
図や寸法などの位置をドラッグ操作によって直感的に変更できます。作成した図面はSVG形式でエクスポートできます。
アドオンマネージャー機能
3rdパーティー製のアドオンのインストール管理を行うためのアドオンマネージャー機能が追加されました。[ツール]メニューの「Addon manager」から実行できます(要ネットワーク環境)。
以前は直接ファイルを操作する必要があったため、操作ミスなどでインストールに失敗する場合もありましたが、アドオンマネージャーによってアドオンのインストール、更新、アンインストールが容易になっています。
その他
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CAD カーネルの更新
使用されている CAD カーネル Open Cascade のバージョンが7.2.0に更新されました。これによってブーリアン演算などでエラーが起きにくくなったとされています。
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パス・ワークベンチの機能追加
CNC などで使用されるGコード生成のためのパス・ワークベンチの機能が強化されました。
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サーフェス・ワークベンチの追加
指定された境界辺からサーフェスを生成するサーフェス・ワークベンチが追加されました。
以上です。FreeCAD バージョン0.17は GitHub の FreeCAD リリースページからダウンロード可能です。